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最高裁判所第二小法廷 昭和53年(あ)989号 決定

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人藤本猛、同平林英昭の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、引用の判例は事案を異にし、本件に適切でないから、所論は前提を欠き、同第二点は、事実誤認の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

なお、原判決の確定した事実によると、本件組立式サウナ風呂は、長期間使用するときは、電熱炉の加熱により木製ベンチ部分に火災が発生する危険があるのであり、被告人らは、その開発及び製作の担当者として、その構造につき耐火性を検討・確保して火災を未然に防止する措置をとる業務上の注意義務があるというべきであるから、被告人らが原判決の認定する経過で火を失した場合には、業務上失火罪に該当するものと解するのが相当である。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 木下忠良 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 栗本一夫 裁判官 塚本重頼 裁判官 鹽野宜慶)

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